怪我をしないように運動前にストレッチをして身体を柔らかくしたいな…
どんなストレッチをすれば良いんだろう?
こんな疑問に答えます。
記事のテーマ
結論、ストレッチの選び方とは
記事の信頼性について
リラクゼーションセラピスト兼NESTA -PFT資格所有パーソナルトレーナーとして約8年間人の身体に携わる仕事をしてきました。
総施術数約6,000件/対応顧客数 約2,000人(2022現在)
解剖学や栄養学から化学的にみたトレーニングやダイエットを専門としています。
記事の前のメッセージ
この記事は「身体を柔らかくしたいけどどうストレッチすればいいのか分からない…」という方に向けてのものです。
記事を読んだ後は、自分に合ったストレッチの選び方が理解できます。
トレーナーとして働いてきた僕が今まで経験してきたことも織り交ぜて情報をお届けします。
さっそく見ていきましょう。
ストレッチとは?
ストレッチのイメージ
多くの人はストレッチと聞くと身体を柔らかくするためにするものというイメージがあると思います。
間違ってはいないですが以下のようにストレッチにはもっと日常生活でもスポーツに対しても良い効果があります。
それぞれ理由を見ていきましょう。
◆ケガをしにくくなる
スポーツの場面で1番怖いのはケガです。
筋肉が固まっている状態で運動をして、筋肉が無理やり伸ばされることによってケガに繋がります。
運動前にしっかりとストレッチをして、筋肉を伸ばす準備をすることでケガを防止することができます。
身体を動かしやすくなる
筋肉が固まっていたら「背中に手が届かない…」なんてことが起きてきます。
筋肉を伸ばすことによって可動域(関節が動く範囲)を広げることができるため、身体が動かしやすくなります。
無駄な力を抜くことができる
筋肉が伸びることによって筋肉の亢進(無意識な強張り)を一時的に抑えることができます。
日頃のストレスや姿勢で強張ってしまった身体の疲れを取り除くことが期待できます。
ストレッチをすることによって…
◆ケガをしにくくなる
→筋肉を伸ばす準備ができるため
◆身体を動かしやすくなる
→可動域を広げることができるため
◆無駄な力を抜くことができる
→筋肉の亢進を一時的に抑えるため
ストレッチのメカニズム
ストレッチをしたら筋肉が柔らかくなる理由は以下の2つがポイントになります。
あまり聞き馴染みがないので「そこまで詳しくは知らなくていい!」という方は読み飛ばしてください。
自原抑制(lb抑制)
本来は筋肉は伸ばされるとゴルジ腱器官というセンサーが反応して、伸ばされている筋肉を柔らかくする指示を出します。
これは伸ばされすぎによる筋肉のケガを防ぐための身体に備わった機能です。
ストレッチで筋肉を伸ばすことによって、ゴルジ腱器官を刺激し筋肉を柔らかくする。
サルコメアの増加
筋肉はいくつかの単位から作られています。
大きな単位から分解していくと、
筋肉→筋束→筋繊維→筋原繊維
となっています。
その中の筋原繊維を作り出しているのがサルコメアと呼ばれる筋肉を収縮させる役割を持ったものです。
筋肉を運動やストレッチなど高頻度で伸ばし続けると、頭がその動作を覚えてきます。
その動作に順応するためにサルコメアの数を増加させ、筋肉自体の長さを伸ばしていきます。
これによって可動域が広がり、運動で筋肉が無理やり伸ばされた際のケガを防ぐこともできます。
ストレッチで筋肉を伸ばすことによって、サルコメア数が増えて筋肉が長くなる。
ほぐすのとどう違うの?
ストレッチとマッサージの違い
ストレッチ
ストレッチにおいて必要な要素は起始停止です。
これは筋肉の付け根のそれぞれ心臓に近い方と遠い方の呼び方です。
起始と停止の距離を離すことをストレッチといいます。
例えば背伸びで伸びる広背筋で例えると、
広背筋
起始:骨盤
停止:上腕骨
背伸びはぐーっと腕を上げて背中を伸ばすストレッチです。
これを起始と停止をからめて説明すると…
骨盤を固定したまま腕を上げると起始と停止の距離が伸びる。
ということになり広背筋の起始と停止の距離を離しています。
また可動域も広がることによって運動のパフォーマンスも上がります。
ゴルフのスイングが大きくなったり、テニスでスピンを掛けやすくなったりなど…
そして筋肉を伸ばすと先程のゴルジ腱器官とは逆に伸ばしている方向と逆に筋肉を縮こめる働きをする仕組みがあります。
筋肉を縮こめるということは筋トレをしていることになります。
なので可動域も広がる、微量ですが筋力もついてくるのがストレッチです。
マッサージ(ボディケア)
マッサージとは医療機関が行う治療やリハビリなどで行う治療行為です。
医療行為を行うには医師免許などの国家資格が必要なため接骨院や病院でしか受けれません。
なのでここでは一般的にイメージされやすいリラクゼーションサロンのボディケアで比較して説明します。
と言っても資格の有無や、受ける施設によっての呼び方の違いなので筋肉がほぐれるメカニズムは基本的に同じモノだと考えてください。
まずストレッチとの違いはやや東洋医学寄りの考え方があります。
よく聞くのがツボや経絡など今でもはっきりとは医学的根拠が確立していないものと解剖学や生理学などを用いて行います。
ストレッチとの大きな違いは、リラックスできる点と関節をほとんど動かさなくても行える点です。
うつ伏せになった状態で身体をほぐされると気持ちよくて寝てしまわれる方が多いですよね。
そのため身体がお疲れの方や、精神的に疲れてしまって寝不足など自律神経が乱れている時にも適しています。
またケガをした人でストレッチなどで関節を動かすのが難しい人にも行えます。
またマッサージやボディケアはストレッチの1種であるSMFR(自発性筋膜リリース)と効果や手法が似ているため、ストレッチの一部の効果も期待できます。
いつどんなストレッチをすればいいの?
ストレッチの種類
スタティックストレッチ(静的ストレッチ)
柔軟体操など反動を使わずに筋肉をゆっくり時間を掛けて伸ばす方法で一番馴染みのあるストレッチです。
筋肉をゆっくり伸ばすと緊張を緩和させ、固まっている筋肉を柔らかくして可動域を広げる効果があります。
ただ可動域を広げた直後は若干筋力が低下してしまうので運動前に行うとケガの危険性があります。
別の視点から見ると、筋力を低下させることによってリラックス効果をもたらす副交感神経が働き始めるため、血圧や心拍数が低下してきます。
そのため就寝前や運動後に行うのが適しています。
ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)
ラジオ体操など反動を使い筋肉を動かしながら伸ばす方法です。
可動域も向上する他、筋肉を動かし筋温を高めるためストレッチ後に若干の筋力増加が見られます。
そのため運動前のウォーミングアップなどに用いられます。
反動を使うため強く行いすぎた場合、筋肉や腱を痛めるリスクがあるため軽い動きにしましょう。
SMFR(自発的筋膜リリース)
硬いものを固まっている部分に押し当てて、筋肉をゴリゴリほぐす方法です。
使うのはストレッチポールやテニスボールなど程よい硬さがあればなんでもOKです。
固まっている筋肉に押し当てて圧迫することによって筋肉の緊張を和らげます。
これはマッサージとほぼ同じ効果があると言われています。
スタティックストレッチと同じく可動域を広げますが、筋力の低下は見られないため運動前にも適しています。
また関節が動かせない状態でもできるためリハビリなどに用いられています。
PNF(固有受容性神経促通法)
トレーナーなどがストレッチで力を加えている方向と逆方向に抵抗して力を入れることによって特定の筋肉に刺激を与える方法です。
筋肉や神経が活性化することによって疼痛を減少させたり可動域やパフォーマンスを一時的に大幅に向上させる効果があります。
しかし痛みがあるなど筋肉が過度に緊張している箇所に行うとケガのリスクが高くなるため適度な負荷で行うことが必要です。
可動域増加も神経も活性化させるため、リハビリ時に多く用いられます。
どんな時にどのストレッチをすればいいの?
運動前
運動前に必要なものはケガの防止とパフォーマンスの向上です。
そのため可動域も上げつつ、筋温を高め筋力を向上させるダイナミックストレッチを行いましょう。
逆に可動域を上げれるとしても、筋力を下げてしまうスタティックストレッチは逆にケガのリスクやパフォーマンスの低下を引き起こす可能性があるため避けましょう。
またSMFRもスタティックストレッチと違い、筋力を低下させずに可動域を上げてパフォーマンスを上げるためおすすめです。
運動後
運動後に必要なのは疲労回復のための血行促進と筋肉の緊張緩和です。
そのためにも筋肉の収縮を緩め、リラックス効果をもたらすスタティックストレッチを行いましょう。
またマッサージと同じ効果があると言われているSMFRもリラックス効果を高めるためおすすめです。
就寝前
就寝前に必要なのは副交感神経へのスイッチです。
そのため無駄な筋肉の力を抜き、リラックス効果を高めるスタティックストレッチを行いましょう。
また身体のこわばりを取り除きやすいSMFRも効果的です。
どちらも副交感神経を優位にさせる効果が期待できます。
疲れた時
疲れが溜まっている時に必要なのは血行促進と可動域を広げることです。
そのため可動域を大幅に広げたり、疼痛などの痛みや怠さを軽減しやすいPNFを行いましょう。
可動域を広げることで普段動かしていない筋肉まで動かせるようになります。
そのため血流の流れが良くなったり、筋力増加につながったりと身体を疲れにくくする要素が含まれています。
またリラックス効果が期待できるスタティックストレッチやSMFRもおすすめです。
まとめ
ストレッチの種類やシーン毎の使い分けは理解できたでしょうか?
下の表で改めてそれぞれの特徴を見ていきましょう。
運動前 | 運動後 | 就寝前 | 疲れた時 | |
---|---|---|---|---|
スタティック | ||||
ダイナミック | ||||
SMFR | ||||
PNF |
これで分かることはSMFRはどのシーンにでも役立つということですね。
ただ最大効力があるのはシーン毎によってそれぞれ違う種類のストレッチがあるため、表を見ながら合ったストレッチの種類を行っていきましょう。
コメント