【筋トレをやめたら筋肉が減る…はウソ?】筋肉の記憶はマッスルメモリーとして残る!

最近、仕事が忙しくて筋トレができてない…
筋肉減ったら今までのトレーニングが無駄になるなぁ…

こんな不安を解消します!

記事のテーマ

筋肉の増減のメカニズムを理解して、マッスルメモリーの仕組みを知る!

結論、マッスルメモリーとは

マッスルメモリーとは、過去のトレーニングで獲得した筋核は長期間動かなくなっても減らない性質のこと

記事の前のメッセージ

この記事は動かなくなって筋肉が減ってしまうのが怖い…」いう方に向けてのものです。

記事を読んだ後は、マッスルメモリーが理解できます。

トレーナーとして働いてきた僕が今まで経験してきたことも織り交ぜて情報をお届けします。

さっそく見ていきましょう。

目次

マッスルメモリーとは?

マッスルメモリーは筋肉の記憶のこと

マッスルメモリーとはその名の通り筋肉の記憶のことです。

筋肉ひとつひとつに記憶が存在して、トレーニングを一定期間やめたとしてもすぐに記憶(筋力や筋肉量)が戻るようにできています。

2022年になってからこの論文で新たに筋肉量減少の原因としてカルシウム濃度が関与すると発表がありました。

これを用いてそもそもの筋肉の増減メカニズムとマッスルメモリーが存在する証拠を一緒に見ていきましょう。

マッスルメモリーが残るメカニズム

マッスルメモリーを説明する際に必要な筋肉が増えるメカニズムと減るメカニズムの2つを見ていきましょう。

筋肉が増えるメカニズム

筋肉量を増やすには大きく分けて2つの方法があります。

筋肉量を増やす方法

◆リボソーム性合成の活性化
→タンパク質が増えて筋肉がつく
◆筋核数の増加
→筋肉を扱えるキャパシティーが増えて筋肉の上限が増える

まず1つ目のタンパク質合成のメカニズムです。

タンパク質が増えて筋肉がつくメカニズム

筋肉に刺激を与える
→筋繊維内の核がmRNAを複製する
→リボソームでmRNAをタンパク質に翻訳
→タンパク質が増えることによりアクチン/ミオシン増加
→筋繊維が太くなる

まずトレーニングをして筋肉に刺激を与えることにより筋繊維内の司令塔である核が反応します。

その後、核は自らの複製であるmRNAと呼ばれるものをつくり、タンパク質に翻訳(変換)するためのリボソームという細胞内の器官に送ることによりタンパク質をつくります。

タンパク質が増えることにより、筋肉を動かす働きをしているミオシン/アクチンというタンパク質も同時に増えて筋繊維が太くなる、というのが筋肉が増えるメカニズムの1つです。

2つ目は筋核数の増加のメカニズムです。

筋核数が増加して筋肉がつくメカニズム

筋肉に刺激を与える
→筋繊維の周りにある筋サテライト細胞が筋肉を修復するために融合する。
→筋繊維の核に加えて、筋サテライト細胞の核が増える。
→筋核が扱える筋肉量のキャパシティーが増える。
→筋肉量が増える。

まずトレーニングをする際には筋肉が伸び縮みを繰り返すため、筋繊維がブチブチ切れてしまいます。

そこで活躍するのが筋サテライト細胞という幹細胞(際限なく増殖できる細胞)で、普段は筋繊維に密着しているだけですが、筋肉を修復する際に分裂し傷ついた箇所を埋めるように融合していきます。

その過程で筋サテライト細胞にある筋核も筋繊維に取り込まれていきます。

そもそも筋核というのは筋繊維に複数個含まれているもので、筋肉を支配/調節する働きがあります。

ただしこれらの働きをするにあたって筋核1つ1つに支配できる範囲が決められています。
補足ですが、1つの筋核が支配/調節できる限られた筋細胞の質量を筋繊維のDNAユニットサイズ筋核ドメインサイズと呼びます。

支配や調節ができない筋肉はもちろん使うことができないので増えることもありません。
そのため筋肉の量は筋核の数に応じた量しか付かなくなります。

つまり逆を言うと、筋核を増やせば増やすほど支配できる筋肉量の上限が増え、その分筋肉も増えるということです。

筋肉が減るメカニズム

筋肉が減ってしまうメカニズムについて今まではなかなか原因が明かされませんでしたが、こちらの論文が今年になってから発表されましたので簡単にまとめて説明します。

神戸大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌内科学部門の小川渉教授らの研究グループ
https://www.jci.org/articles/view/154611

筋肉が減るメカニズム

トレーニングをしなくなる
→ピエゾ1がはたらき、カルシウム濃度を下げる
→KLF15がはたらき、IL-6を増やす
→IL-6がはたらき、筋肉を減らす

トレーニングをしなくなり身体が動かす頻度が少なくなると、身体の中のカルシウム濃度が下がってきます。
これが筋肉量が減ってしまう直接的な原因になっていると上記の論文で明らかになりました。

カルシウム濃度が減ってしまうメカニズムとしては、筋肉を動かさなくなるとピエゾ1というタンパク質が筋肉中から減ってしまうことが原因となります。

このピエゾ1というタンパク質は細胞に圧力が加わると窓のように道を作り、カルシウムなどを細胞内に取り込む役割をします。

研究では

ピエゾ1を筋肉中から除去することで筋肉を動かしてもカルシウム濃度の低下や、筋肉量の減少が見られた。

とあります。

このことからピエゾ1というタンパク質が無いと筋肉量を減らす直接的な原因になっているカルシウム濃度が減っていくということが分かります。

また筋肉量が減っていくとさらに筋肉中にKLF15というタンパク質が増えていきます。
そしてこのKLF15が増えるとIL-6というタンパク質も同様に増えてきます。

このIL-6というタンパク質は筋肉量を減らすはたらきをします。
研究ではこの

IL-6の効果を抑える薬品を投与すると筋肉を動かさなくても筋肉が減らない

ということが明らかになりました。

また同様にKLF15を筋肉中から除去することで筋肉量が変わらないという結果も出ています。

筋肉が減っても無くならないものがある!

せっかく付けた筋肉もトレーニングをしなくなると徐々に減っていきます。

しかし筋肉が減っても減らないものが筋核です。

傷ついた筋繊維を修復するために筋サテライト細胞が筋繊維に融合します。
その過程で筋繊維の中に融合した分だけ筋核が増えていきます。

これらはカルシウム濃度が減って筋肉量が減少したとしてもほとんど変わりません。

そして筋核の数の増加が筋肉量を増やすために必要なメカニズムとして紹介しました。

そのため一度トレーニングをして筋核を増やした人は筋肉を増やすために必要なタンパク質の合成を増やす、筋核の数を増やすというメカニズムのうち1つを省略できるのです。

つまりトレーニングを継続して筋核を増やした人は、タンパク質の合成を増やすだけで当時の筋肉量まで戻すことができ、また筋核を増やす工程を省略できるため筋肉が付くスピードが速くなるのです。

このように一度獲得した筋核(記憶=メモリー)が無くならないことによって、もともと付いていた筋肉量まですぐに戻すことができる!という性質をマッスルメモリーと呼びます。

まとめ

トレーニングをするということは言い換えれば、筋繊維のなかに筋肉量を増加させる要因でもある筋核数を増加させるということです。

そしてその筋核はほぼ無くならないためトレーニングを辞めて筋肉量が減ったとしても、再開すると筋肉が元通りになるまで時間があまり掛かりません。

そのため、身体が疲れているけどトレーニングしないと筋肉が落ちてしまう…と考えている方は休んでも筋肉はすぐに復活する!ということを覚えておいてください。

何事もケガをしないことが大事です。

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